二月二十日、東京・渋谷の松濤本部と全国の教会をインターネットでつないで、第十回「青年学生圏 孝情礼拝」が捧げられました。説教を行った天の父母様聖会の竹内啓晃・神日本大陸副会長は、これまでの鮮鶴平和賞受賞者について紹介しながら、人種・宗教・国家の壁を超えてより多くの人に福を与える私たちになろうと青年たちに呼びかけました。(文責・編集部)
全国の愛する兄弟姉妹の皆さん、おはようございます。第十回の孝情礼拝となりました。
新しい春を思うとき、真のお母様は水仙の花について語られます。凍土を突き破って、春の訪れを伝える水仙のように、寒さに負けず元気いっぱいな皆さんになっていただけたらと思います。
世界の国家首脳級の指導者たちが
「韓半島平和サミット」に参加
きょうは、「壁を超えて一つになる」という内容について、共に考えていきたいと思います。
現在、世界は本当に厳しい情勢にあります。このところ、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が懸念されていますが、NATO(北大西洋条約機構)はこの問題に対して、どのように対応していくのでしょうか。また、それが中国と台湾の関係に飛び火した場合、どのような影響が生じるでしょうか。新型コロナウイルスのパンデミック下でも、いまだに他国に侵攻する国があり、戦い、殺し合うという現実があるのです。
真のお母様を中心として摂理の最終段階を迎えていこうとする中で、本当の意味でサタンの発悪が猛威を振るっていると言えます。五十二年間、真のお父様と共に真の父母として歩まれ、摂理の最後の段階において、神様とサタンの一線である韓半島の平和統一、神統一世界の安着を成すことによって、この地上世界に天の父母様(神様)を中心とした国を立てていこうとされるお母様の、リアルな闘いがそこにあることを感じます。
そのような中で、真の父母様の主管の下、ワールドサミット二〇二二「韓半島平和サミット」(2月11〜13日)が開催されました。このサミットでは、カンボジアのフン・セン首相と潘基文・前国連事務総長という、国あるいは世界を代表するリーダーが共同組織委員長を務めました。
お二人は開催に当たって、韓国と北朝鮮が共に国交を結んでいる百五十七か国を中心に、連名で招待状を送りました。そのうち七十か国八十五人の現・元職のリーダーたちが会場で直接、またはオンラインで参加しました。
開会式で、フン・セン首相は世界各国の首脳たちに、「韓半島の平和と安全は、解決が急がれるグローバル・イシュー(地球規模の問題)です」と強調し、「韓国と北朝鮮、他の関係国が韓半島の恒久的な平和に対する宣言を採択することを願います」と述べて、サミットの開会を宣言しました。
また、潘基文・前事務総長は、全世界のリーダーたちから、「このサミットに参加できて、本当にうれしかったです。感謝しています」という言葉をたくさん聞いたということを、真のお母様にご報告したそうです。そしてご自身も、サミットの規模やその内容など、全てに感動したといいます。〝一国家の政府でも簡単にはなしえない内容が、韓鶴子総裁であればできるのだ〟と驚嘆し、お母様に謝意を表したそうです。
未来世代のために貢献した
個人や団体に与えられる賞
このサミットの中で行われた行事の一つに、第五回となる鮮鶴平和賞授賞式がありました。今回から、鮮鶴平和賞委員会の委員長に、ジョゼ・マヌエル・バローゾ元欧州委員会委員長が就任しました。この方は、ポルトガルの元首相でもあります。
鮮鶴平和賞は、人類一家族の平和世界実現を目指し、超人種、超宗教、超国家運動を繰り広げてこられた真のお父様の平和思想とその遺志を宣揚するために、真のお母様の提案によって、二〇一三年に創設されました。
鮮鶴平和賞の特徴は、大きく分けて三つ挙げられます。
一つ目は、未来世代のための賞であることです。ノーベル平和賞をはじめとするさまざまな平和賞が、すでに起こっている問題の根治や改善に貢献した人物や団体に授与される賞であるならば、鮮鶴平和賞はそれに加えて未来世代のために貢献した個人や団体に与えられる賞だと言えます。
二つ目は、人権の尊重、葛藤の和合、生態の保全、この三つの旗印を追求していることです。
三つ目は、賞金の規模です。授賞式は隔年で開かれ、各受賞者にはメダルと記念牌、さらに賞金として五十万米ドル(日本円で約5800万円)が与えられます。これは、世界最大級の規模と言えるのではないでしょうか。
これまでの受賞者について、簡単に紹介します。
まず、第一回の受賞者は、キリバス共和国のアノテ・トン大統領(当時)と、インドのM・ビジェイ・グプタ博士です。トン大統領は全世界的、全地球的な危機である気候変動に注目し、国際社会において気候変動の解決に先駆けて取り組んできました。
また、グプタ博士は未来の食糧危機に備えて、魚の養殖技術を開発。東南アジアやアフリカの貧しい国々に広く技術を普及させ、貧困層の人々が飢餓に苦しまないよう尽力しました。
第二回の受賞者は、イタリアのジーノ・ストラーダ博士と、アフガニスタンのサキーナ・ヤクービ博士です。ストラーダ博士は二十五年もの間、中東とアフリカで繰り広げられる紛争の最前線で、命の危機に瀕した七百万人以上の難民が治療を受ける権利を守ってきました。
ヤクービ博士は二十年以上、アフガニスタンの難民キャンプで、故郷を失った難民が再び定住できるよう尽力。時には命の危険にさらされながらも、人々に教育を施してきました。私はヤクービ博士に直接お会いしてお話ししたことがありますが、とても温かい、お母さんのような方でした。
第三回の受賞者は、アフリカ開発銀行総裁のアキンウミ・アデシナ博士と、女性人権活動家のワリス・ディリー女史です。アデシナ博士はグローバルな不平等問題に注目し、三十年かけて農業技術の革新に取り組みました。アフリカの貧困状態を大きく改善し、数億人が飢餓から抜け出せるようにしたのです。
東アフリカのソマリアで生まれたディリー女史は、世界的なスーパーモデルとして活躍する一方で、自身のつらい割礼経験を告白。女性の人権向上のために勇気を持って声を上げ続け、二〇一二年には、国連が女性割礼を全面的に禁止する決議案を全会一致で採択するに当たって大きな役割を果たしました。
第四回の受賞者は、セネガル(西アフリカ)のマッキー・サル大統領と、ルーテル世界連盟前議長のムニブ・ユナン牧師です。マッキー・サル大統領は法を整備して透明性の高い政治を実行しながら、アフリカの交通インフラを拡充し、短期間での経済成長と民主主義の成熟に貢献しました。「グッド・ガバナンス(良き統治)」のモデルと言えます。二〇一八年には真のお母様と直接会談し、現在はAU(アフリカ連合)の議長も務めています。
ムニブ・ユナン牧師は、エルサレムでパレスチナ難民として生まれました。宗教間の対話と和解が人間の平和の基盤であると信じ、その生涯を宗教の調和に捧げてきた方です。ルター派(プロテスタント)とカトリックが共通の道を約束する宣言文に、教皇フランシスコと共に署名するなど、根深い対立関係にあった両者の和解に尽力しました。
また、第四回の授賞式では、潘基文・前事務総長に創設者特別賞が贈られました。潘基文・前事務総長は国連で事務総長を二期務め、貧困撲滅や気候変動対策など十七の項目を掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」を提示し、パリ協定の調印にも尽力しました。
今回の鮮鶴平和賞のテーマは「平和のための健康」です。受賞したのは、コロナウイルスワクチンの開発に注力した英国オックスフォード大学のサラ・ギルバート博士と、Gaviワクチンアライアンスです。
ギルバート博士はアストラゼネカ社製ワクチンの共同開発者として、コロナ・パンデミックの克服という人類共通の課題に取り組んできました。現在までに、この取り組みを通じて、世界百八十二か国で二十五億回分以上のワクチンが供給されたそうです。ギルバート博士は昨年の第五回「神統一世界安着のための希望前進大会」で基調演説も行っています。
Gaviワクチンアライアンスは、発展途上国の人々の健康を維持することを目的とした官民パートナーシップで、二〇〇〇年に設立されました。個人ではなく団体の受賞は、今回が初めてです。創設されてから現在まで、世界の子供たち八億二千万人以上にワクチンを届け、千四百万人以上の命を守ってきたといいます。コロナへの対応としては、コバックス・ファシリティを主導。ワクチン接種へのアクセス拡大を通じて開発途上国の救済に貢献した功績が認められました。
そして今回、カンボジアのフン・セン首相が創設者特別功労賞に選ばれました。フン・セン首相は、東南アジアの持続可能な発展と繁栄のためにリーダーシップを発揮。特に、鮮鶴平和賞財団の創設者である真のお母様が提案された「神統一韓国平和体制」に歩調を合わせ、韓半島平和サミットの共同組織委員長として活躍した功績が高く評価されました。このサミットの期間中、フン・セン首相はご自身のフェイスブックで、誰でも中継映像が見られるようにしていたそうです。およそ千四百万人がその映像を見たと聞いています。
人類一家族世界を実現するために
より多くの人に福を分け与えよう
真の父母様の取り組みは一貫しています。人類一家族世界実現のために、超人種、超国家、超宗教の運動が必要であるということを教えてくださり、ご自身がそこに身を投じてこられました。現代の社会には、「自分さえ良ければいい」という個人主義が浸透しており、最近の米国に至っては「わが国が良ければいい」ということを一つの政治体制として伝えています。しかし、人類一家族世界を実現していくためには、個人主義ではなく、いかに、より多くの人たちに福を与えていけるか、そして壁を超えていけるかということが、とても大切になってきます。
真のお父様は、より大きい福のために善なる生き方を実践された方であったということを、皆さんも記憶していると思います。このお父様のお姿を見てください(左上の写真)。宗教指導者として説教壇に立って語られるだけではなく、真っ黒に日焼けし、お顔はしわしわ、手はがさがさになりながらも、より多くの人たちに福を分け与えていきたい、天の父母様が願われる方向へ全人類を導いていきたいと、心だけではなく身も投じながら歩んでいかれた方です。
真のお母様も同じです。これは、かつてお母様がアフリカを訪問された際、現地の子供たちと愛を分かち合っておられるお姿です(右上の写真)。鮮鶴平和賞は、そのように全体に福を与える生き方を称賛していきたいというお母様の願いがあって、創設されました。
真のお父様は、「平和は具体的な行動であって、漠然とした夢ではありません」(光言社版『平和を愛する世界人として』249ページ)と語られました。
現実の社会の中では、良心の声に従おうとすると、なかなか生きづらい部分もあるかと思います。しかし、真の父母様の子女である二世・三世圏の私たちは、自らの良心の声に従って、自信を持って行動する人になっていきたいですね。
皆さんの周りを見たとき、神様を知っている、いないにかかわらず、より広範囲にわたって福を与えようと挑戦、実践している人たちがいるでしょう。そういった人たちをよく見詰めて、共感し、協働していくことができる私たちになっていけたらいいと思います。
また、皆さんは職業を持って社会で活躍していたり、あるいは天の夢に向かっていろいろな知識を学んでいたりするかと思います。そのとき、単に世の中で称賛を得るような専門性を身につけるという次元で終わるのではなく、「この専門性をより多くの人たちに福として分け与えていくにはどうしたらよいか」という観点を持つことが大切です。世の中で認められるという次元を超えて、「天の父母様と真の父母様の願いにかなった生き方をするにはどうしたらよいか」という観点に立ち、皆さんの能力を〝ひとひねり〟していくということです。
冒頭でお伝えしたように、真のお母様は鮮鶴平和賞を未来世代のための賞としてつくられました。もっと言えば、お母様は、皆さんが鮮鶴平和賞を受賞する人物になってほしい、皆さんに賞を授与したいと願われているのだということを、ぜひ知っていただきたいと思います。
真のお父様は、次のような内容のみ言を語られました。
「私たちは、全世界人類がみな、私の兄弟だという意識を持たなければなりません。地球上の全ての問題を自らの問題と考え、それを解決するために開拓者の精神を備えなければなりません。世界を一つの懐に愛で抱き、ために生きる世界人は、人類の空腹を自分のことのように胸を痛め、他を助けようとしなければなりません」
また、真のお母様は、「天地人真の父母様聖誕および天一国基元節九周年・韓半島平和サミット祝勝会」(2月15日)でこのように語られています。
「天の父母様の子女になる道は、真の父母を受け入れて、天の父母様の懐に兄弟として一緒に行く道しかありません」
壁を超えて一つになっていく、全ての人を兄弟姉妹として見詰めていく、私たちは天の父母様を親とした兄弟姉妹であるという観点を握り締めながら出発していきましょう。
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