「Hygge(ヒュッゲ)」とは? 世界一幸せな国の「幸せのかたち」

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 フリーペーパー『キッズファミリー「ぐぅちょきぱぁ」』130号に掲載されたコラム「あなたはいま、幸せですか――?」を、一部抜粋してご紹介いたします。

 

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有効求人倍率に不動産価格、景気拡大期間の長さ――どれをとっても『バブル期超え』と新聞は書き立てます。しかしいま、あなたは幸せですか? 国連による評価では、日本の幸福度はG7(先進7ヵ国)中最下位。ひょっとしたら私たちは『幸せのかたち』を勘違いしてきたのかもしれません。

 

世界一幸せな国の『幸せのかたち』

 国連は毎年3月、『世界の幸福度ランキング』を発表していますが、日本の幸福度は何位か知っているでしょうか。

 2017年度は、世界155ヵ国中51位でした。これはG7中最下位、かつて映画で地獄のような内戦が描かれたエルサルバドルよりも、現在も麻薬戦争真っ只中にあるメキシコよりも低い順位です。世界第3位の経済大国、世界でもっとも長く続いてきた国でありながら、なぜ私たちはこんなに不幸なのでしょう。

 不幸な日本とは対照的に、幸福度が毎年常に1位か2位にランクインするデンマーク。(2017年は2位)この国の幸せの概念、価値観のようなものを表す言葉に『Hygge』(ヒュッゲ)があります。他国の言葉に訳すのはとても難しいといわれますが、これはデンマークの人々がイメージする『幸せのかたち』を表す言葉のようです。

 それは例えば『家族が揃ってカウチに座り、温かな飲み物を手にテレビを見て過ごすこと』であったり、『親しい人を家に招いて夕食をともにする時間』であったり、『ろうそくの灯りだけで過ごす家族団らん』であったり、あるいは履き古した靴やお気に入りの自転車、大好きな家具などが『ヒュッゲ』を感じさせてくれるとも言います。

 いずれにしてもヒュッゲとは、高価な車や海外旅行、豪華な別荘といった、大金をかけて求めるような幸せとは対極に位置する、身の周りにある暖かさで、ささやかで、シンプルなものに見出す幸せの味わいのことであり、家族や親しい人、大好きな人とのつながりやぬくもりを基調とした、くつろぎ、ゆったりとした時間や雰囲気、マイホーム――的な概念であるようです。

 昨年、イギリスのオックスフォード辞書が選ぶ『Word of the year』、いわば流行語大賞ですが、これに『Hygge』がノミネートされました。EUからの離脱で国全体が揺れる中、マイホーム的な、周囲の人とのつながりを基調とした幸せへの希求が拡大したのです。

 それに比べて不幸な国、日本の流行語大賞は『日本死ね』という、何とも殺伐とした酷い言葉でした。

 
 リアルな人間関係を疎んじる一方、常に不安に苛まれ、SNSに依存しようとする若者たち。彼らはいま、家族との絆すら確認できないのかもしれません。それを思う時、私たちが夢見てきた『幸せのかたち』は、間違っていたのではないか――。そんな疑念が拭えません。

 世界一幸せな国、デンマークの『ヒュッゲ』に学び、私たちはいま、『幸せのかたち』を見つめ直してみる必要があるのではないでしょうか。

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