はやぶさ・はやぶさ2の探査が宇宙創生の謎を解き明かす ~天地創造のシナリオが徐々に明らかに~

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●はやぶさとの出会い

この原稿は2013年6月13日に書いている。そう、ちょうど3年前の2010年6月13日は、小惑星探査機はやぶさが地球に帰還した日でもある。

おそらく、はやぶさ帰還直前か、帰還後になって初めて、その偉大な業績を知った人も多いに違いない。しかし、宇宙ファンでもある自分にとっては、はやぶさのミッションは最初からウォッチしていた。2003年5月の打ち上げも、2005年の小惑星イトカワ到着、タッチダウンも、JAXAのホームページのニュースリリースを逐一チェックしては、一喜一憂していた。その間にあった火星探査機のぞみの執念のようなスイングバイ軌道を見ては驚愕し、結末としておとずれた火星軌道投入失敗のニュースも、呆然として眺めていたことを思い出す。

ただの宇宙ファン、宇宙の趣味にすぎなかったから、宗教・信仰の世界とは当然別の世界のものとして、自分の中でとらえていた。何かしら自分の趣味をもっている人ならわかってもらえると思うが、宗教や信仰の世界と結びつけて考えにくい分野であればあるほど、別々に分けて考える傾向は強いと思う。

はやぶさを見つめる視点も、実は最初そうだった。子どものときにアポロ計画を目の当たりにし、宇宙や宇宙探査にあこがれてきた身としては、ただ単に好き、だったのである。

●なぜもっと早く気がつかなかったのか

ところが、はやぶさが帰還の途上にある2009年、動画投稿サイトYouTubeに投稿された替え歌付き動画を見て、大きなショックを受けた。その動画とは、歌手のさだまさしさんが作詞作曲した「案山子(かかし)」の曲をつけ、歌詞を替えて、はやぶさが元気かどうかを親の気持ちで心配する1ファンの作った動画だった。


[はやぶさ]今度いつ帰る ~はやぶさ探査機~

これを見て笑う人もいるかもしれない。たしかに、イラストのタッチも、動きも洗練されているとは決して言えず、技術的文章がやけに長くて読みづらい。とはいえ、親の気持ち、親の情で見つめる思いのこもったものだ。実は、これを見たとき、正直、しまったと思った。そして「なぜもっと早く気がつかなかったのだろう? これは神様の心情ではないか。はやぶさを取り巻く最先端の科学と宇宙に、神様の心情が働いていることに食口(教会の信徒)が誰も気がつかず、一般の人が先に気がついていたのではないか?」と自ら問い尋ねたのだ。

そして、そのことに気づいた後は、次々といろいろなことを見つけ出し、「これはただものではない」「やはり神様の啓示だ」と思えるようになっていった。そうした内容は、2012年1月にファミリーフォーラム(FamilyForum.jp)に投稿した拙稿-コラム『「はやぶさ」が見せてくれた神様の心情を伝える奇蹟』にまとめてある。

●はやぶさ帰還は神様の心情を伝える奇蹟であった

くわしい内容は、コラムをご覧いただきたいが、はやぶさの帰還は、何より先に、神様が人類を見つめ愛する思い、心配しながら人類の帰りを待ちわびる思い、神様のそうした心情を伝える奇蹟であったということである。

日本の科学技術力はすごいとか、官民一体のチーム力が発揮されたとか、誰もが希望を見いだすようになったとか、そういうことよりも、実はもっと核心である。日本人だけでなく世界の人が見てもわかる、大人だけでなく子どもが見てもわかる、そういう奇蹟だ。人類の親である神様自身が「神様の心情とはこのようなものだ」ということをわかりやすく見せてくれた業だと思えるのだ。

その証拠として、小学生の子どもたちに、“初めてのお使い”を果たしたはやぶさの話を神様の心情と結びつけて話をすると、とてもよく理解してくれる。そのことは本当に驚きだ。姿の見えない神様、その神様を信じる人がまだまだ少ない中、その神様の心情はこのようだった、と話していくと、身をもって感じ取れるようだった。複雑なことはわからないし、難解な統一原理の内容をすべて知っているわけではない、そんな子どもたちが、神様の心情をくみ取れることは、何と偉大な教材なのだろう。

●奇蹟の署名として原理数と「天地人」「父母」が含まれていた

神様自身が神様の心情を伝える奇蹟ならば、その署名があるはずだ。その署名が、拙稿コラムにもふれた「4、3、7」の原理数や「6000」年の復帰摂理歴史であり、ターゲットマーカーに名づけられた「天地人」であり、イオンエンジンに名づけられた「父母」だったのである。

署名は、ちょっとばかり手が込んでいた。直感としては何かを感じるのだが、その印が見やぶれない。とはいえ、神様にしてみれば、あまりにも簡単な“ヒント”だったに違いない。その簡単な“ヒント”を解けないようでは、神様の心情を説かれた文鮮明先生の弟子の一人として、あまりにも申しわけないとも思う。誰かが解いたなら、伝える使命があるのは間違いない。とはいえ、その啓示的な印は、誰にでも一律に簡単には理解してもらえないだろうと思う。だからこうしてファミリーフォーラム(FamilyForum.jp)にコラムとして投稿したことをご理解いただきたい。

●燃え尽きるはやぶさに“昇華”の姿を見た

はやぶさの大気圏突入(提供:NASA)
はやぶさの大気圏突入(提供:NASA)

実は、2012年1月の拙稿コラムで、その意味をはっきりとふれなかったことがある。それは、はやぶさと分離したカプセルが大気圏に突入するとき、はやぶさ本体は地球の大気で燃え尽きたが、その姿を「昇華」だと言及したことだ。「昇華」とは科学用語で、高熱のため、固体から液体の形を経由しないで一気に気体の状態になることを言う。はやぶさ本体は燃え尽きたが、実際は塵や気体にその形が変わった。だから、はやぶさは、今も私たちの周りの大気中に存在するし、原子レベルではちゃんと地球に帰ってきていると言える。

「昇華」の言葉はまた、統一教会では別の意味を持つ。霊人体が肉体を離れるとき、つまり肉体の死のときを表現する用語である。この「昇華」の用語は、2011年末頃からは文先生の指示により、「聖和」と改められた。

今にして思えば、はやぶさが帰還直前で燃え尽きた姿は、2012年9月、基元節を迎える直前で聖和(逝去)された文鮮明先生の姿とまさしく同じである。はやぶさの最期の姿は、きっと文先生の姿を象徴していた、と私は確信してやまない。

●「はやぶさ2」プロジェクト共同研究員 Dr.Hiroi (廣井博士)の講演を通じて

講演する「はやぶさ2」プロジェクト共同研究員の廣井孝弘博士
講演する「はやぶさ2」プロジェクト共同研究員の廣井孝弘博士

そうこうするうち、2012年1月にコラムを書いてアップしたときから、丸1年の時間が経過した。

そして今年になり、コラムを通じて、前の「はやぶさ」プロジェクト共同研究員であり、後継機でもある現在の「はやぶさ2」プロジェクト共同研究員の Dr.Hiroi(廣井博士)と出会うことができた。

廣井博士は、米国ブラウン大学上級研究員として、世界的な惑星科学者として活躍中であり、隕石および小惑星試料研究の第一人者でもある方である。幸運にも、博士に講演をしていただく機会が得られた。

廣井博士の講演を聞き、自分なりに理解したこと、強く感じたことを、次に書いてみたい。ただし、講演内容を順番通りそのまま列記したものではないこともお断りしておく。

●行けるところにいった「はやぶさ」-持ち帰った試料が物語るもの

初代はやぶさは、正式には工学実証機であり、小惑星への往復飛行の技術を確立することが最大の目的であった。そのため、行きたい小惑星に行ったのではなく、地球軌道まで入り込んでくる地球近傍小惑星のうち、なんとか“行ける”小惑星へ行った。それが小惑星イトカワだった。

そもそも科学者たちは、地球に降り注ぐ隕石の大部分は、小惑星からやって来たものと予想していた。しかし、そのことを裏付ける証拠は何もない。それを決定的に証拠づけたのが、はやぶさが持ち帰ったイトカワの試料だった。

イトカワ微粒子の電子顕微鏡写真(提供:JAXA)
イトカワ微粒子の電子顕微鏡写真(提供:JAXA)

隕石の大多数が「普通コンドライト」と呼ばれる岩石質のものだ。一方、初代はやぶさが行った小惑星イトカワは、地球近傍小惑星の中でも、ありふれた、いちばん多いタイプの「S型」の一つである。そのS型小惑星での主成分は、普通コンドライトに近いことが最初から予想されていた。

ただし、地上からの観測、特に反射スペクトルを利用した観測では、隕石の成分とイトカワの表面とでは、似ているものの、完全に一致していないことが謎の一つだった。その完全に一致していない理由が実は“日焼け”に近い「宇宙風化」によるものであった。宇宙風化については後述する。

博士によると、ありふれた小惑星イトカワから、持ち帰った試料を調べることによって、隕石の大部分と同じ主成分である普通コンドライト、特にLLコンドライトに近いことが証明されたという。普通コンドライトはH、L、LLのタイプに分類される。これにより、地球上に落下する隕石の約8割を占める普通コンドライトの多くが、「S型」小惑星を起源とすることが明らかとなった。

そして、博士のメイン研究テーマの一つ、「宇宙風化」である。一般常識からすれば、真空の宇宙空間の中では、水も大気もないので、常識的には風化することはない。ならば何年経っても形も性質も変わらないはずだ。

しかし、実際には太陽から発せられる高エネルギーの粒子「太陽風」が吹きつけたり微小隕石が衝突することによって、真空の宇宙空間に浮いている物質が“風化”に近い現象を起こす。それが宇宙風化の正体だ。分析の結果、イトカワ表面の物質は宇宙風化を起こしていることが明らかとなった。もう少し具体的に言うと、粒子の表面にナノ微小鉄、ナノ硫化鉄の存在が確認されている。そうしたことが隕石とイトカワの表面との間で反射スペクトルが完全に一致していない理由でもあることが、裏付けられる形となった。

●行きたいところに行く「はやぶさ2」-何を見つけてこられるか

人工クレーターにタッチダウンするはやぶさ2(提供:池下章裕氏/JAXA)
人工クレーターにタッチダウンするはやぶさ2(提供:池下章裕氏/JAXA)

つぎに、2014年末に打ち上げが予定されているはやぶさ2だが、めざす小惑星は「1999JU3」と呼ばれるイトカワと軌道の似た地球近傍小惑星である。ただし、「S型」小惑星であったイトカワとの違いは、炭素や水の存在が予想されている「C型」小惑星ということが大きな特徴である。この小惑星は、いろいろな化合物や有機物の形で炭素原子を含む炭素質コンドライトがあると予想されているのだ。

炭素原子がなぜそんなに重要なのかというと、それは、地球に住んでいる生命体の体を形作る最も重要な元素だからだ。私たち人間の体もそうだ。元素の比率で言えば、最大多数のものは元素記号「C」の炭素である。だから地球の生き物は、“炭素ベース”の生命体と言っていい。

(※人間の体はその約60%が水であり、この水を除いて、人間の体を構成する元素を考察した数字による)

現在の宇宙科学では、炭素原子を含む有機物をもった小惑星や彗星が、地球に降り注いだり、ぶつかって地球に誕生した生命体の源となった説が有力である。地球に生命が生まれるようになった手順と仕組みが小惑星探査によって明らかにされるかもしれないのだ。

なお、「1999JU3」では呼びづらいので、はやぶさ2が打ち上げられる頃には、イトカワのような何か呼びやすい名前が付けられていることだろう。

●小さな小惑星小さな粒子、だけどわかることはとてつもなく大きい

今から20年前、小惑星の探査計画を日本が打ち出したとき、とても地味な扱いだった。金星や火星のような大きな惑星へ行くなら、とても華々しくかつセンセーショナルに扱われただろうが、岩と砂しかない500m程度の小惑星に行って、それが何になるのか、いまだに疑問に思っている人も多いことだろう。

しかし、これまで述べたように、小さな小惑星の小さな粒子を持って帰って調べること、そして調べてわかることは、とてつもなく大きいことがよくわかる。

まず何より、46億年前、太陽系が生まれた頃の状態が粒子に残っており、46億年前の太陽系の姿がよくわかる。それはとりもなおさず、地球がどのようにして生まれ、どのように今の地球の姿になったのかを知る大きな手がかりとなる。

さらに、その後、地球に水がみたされ、多種多様な生命体があふれることになるが、その水がどこからやってきたのか、さらに生命の元になる有機物がどこからどのようにやってきたのかなど、重要な鍵を小さな小惑星や彗星が握っているのである。だから、太陽系の起源と進化の解明の鍵は、それら小天体が握っていると言っても過言ではない。

人類が今もつ技術でがんばって行くことができる“近く”の小惑星に行くことで、多くの謎を解く鍵が与えられているのである。行かない手はない。

●次々と明かされる宇宙創生のシナリオ

宇宙を探究している科学者の人たちの中には、ホーキング博士のように“神の実在と創造”を真っ向から否定する学者もたしかにいることはいるが、宇宙の成り立ちのあまりにも深遠で、奇跡が奇跡を呼ぶような奇跡の連続でできあがったこの宇宙を見て、何かしら創造主を感じ、畏敬の念をもっている人たちが、実は多いように思える。

とはいえ、はっきり声をあげて説明する科学者がたくさんいるわけではないので、確証はない。しかし、考えてみてほしい。世界をリードするのはやはり欧米の科学者たちだ。日本の科学者はそうでないかもしれないが、欧米の科学者には、思考や考え方の背景としてキリスト教やイスラム教、ユダヤ教があるのが普通だ。これらの宗教はみな、“神の実在と創造”を信じる一神教である。

そのように考えると、宇宙を探求する科学者たちが最終的に行き着くのは、科学の分析手法と観測を積み上げていくことにより、神の天地創造の仕組みと流れを解き明かすことになっていくに違いない。

●インテリジェントデザイン理論と宇宙科学

講演の中で廣井博士は、そのような潮流を読みとってか、宇宙創生における「インテリジェントデザイン理論」の骨子を紹介している。その骨子はまだ大まかで、さらなる検証が必要だとは思うが、現在の私たちが科学の成果によって知りうる知識に裏打ちされたものである。たとえば、その一部はこうだ。

宇宙誕生の137億年前から、太陽系ができる46億年前の間の91億年間は、おもに何が起きていたか。それは、新しい恒星が誕生しては死んでいき、恒星が死を迎えるその中で、数多くの元素を生み出されることになった。そして、超巨大ブラックホールやパルサーと呼ばれる超新星爆発後にできた中性子星などの強力なジェットによって、その元素を含む塵やガスが吹き寄せられ、集められていく。

私たちのいる太陽系の元は、数多くの恒星が死にたえ、犠牲となった後に形作られたものだと言える。

ジャイアントインパクト想像図(提供:NASA)
ジャイアントインパクト想像図(提供:NASA)

46億年前に太陽系ができ、原始地球ができてからまもなく、その原始地球に火星ぐらいの大きさの原始惑星がぶつかる。その巨大衝突によって、地球表面の地殻が激しくはがれ、マントルごと飛び出した。それと原始惑星の破片は混ざって地球を回り、一部は地球に再落下したが、残りはやがて月となる。近年、定説となった「ジャイアント・インパクト」説である。

このとき、月が生まれることによって、地球の地軸が安定し、生命体が存在しやすいよう、気候が安定するようになった。月には衝突の歴史が保存されている。月を調べることで、より謎が解明されていくことと思う。

このように、宇宙創生における「インテリジェントデザイン理論」にアプローチすればするほど、誰かがセットアップしたとしか考えられないようなみごとな作り、仕組みであることが徐々に裏打ちされていくことだろう。

●さらなる未来へ

そしてその解明の鍵を握るのは、現役の科学者というより、未来の科学者となるべく、次の世代を担う今の小中高生や大学生たちであるのだと思う。若者たちが、新しい知の地平を切り開いていってほしい。それがやがて壮大な“神の天地創造”のシナリオを明らかにしていくことだろう。

(Kousuke Tanaka)

〔※このコラム内容は、あくまでライター個人の主観にもとづく見解を述べたものです。文中に出てくる団体や組織、博士を含む個人へのこの文章に関するお問い合わせ・質問はおやめくださるようお願い申し上げます。〕

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