四月四日から二十六日にかけて千葉中央修練所(千葉市花見川区)で開催された「第二十七期孝情天寶二十一日修錬会」で、四月二十四日、天の父母様聖会の方相逸・神日本大陸会長がメッセージを語りました。方相逸・大陸会長は、参加している多くの二世圏の若者たちに対して、自らの体験談を交えながら、真の父母様の教え「ために生きる」「怨讐を愛する」について解説し、「自分が困難な立場にあっても、相手のために投入するのです。それが、真の愛です」と語りかけました。(文責・編集部)
日本宣教に出発するまでに
時間がかかった背景
皆さん、おはようございます。
きょうは、四月二十四日です。一九九八年のこの日、私は日本宣教のために来日しました。丸二十五年になります。
その年の三月十一日、真のお父様が突然、韓国の牧会者たちを集めて、日本宣教の願いを託されました。百八十五人の牧会者は、早い人で十日間、遅い人でも一か月間の準備で来日したと思います。一方、私は四十日以上かかりました。その理由が何か分かりますか? 日本に来たくなかったからです。
私の父は、日本で徴用工として働いたことがあります。岩手県の炭鉱で二年間、働きました。過酷な労働によって、同僚の多くが亡くなったそうです。
父は体がとても丈夫でした。何百人もいる徴用工の中で、日本の軍人から、「おまえは体が強そうだ」と褒められたそうです。韓国では昔、米俵は約八十キロでした。父は、米俵を縛った縄をくわえて立ち上がり、米俵を持ち上げることができたそうです。それぐらい力自慢だったのです。
しかし、炭鉱で働くうちに、体はボロボロになりました。そして、亡くなった同僚のことを思い、不安に襲われたのでしょうか。ある日、「きょう逃げないと命が尽きる」と直感しました。父は炭鉱から逃げ出し、下関(山口県)を目指して二千キロを歩いたのです。
父が故郷にたどり着いてから約一週間後、韓国は日本から解放されました。そのとき、父は二十四歳。以来、日本語を話すことは二度とありませんでした。
韓国では、日本が朝鮮半島を統治した時代の出来事を学校で徹底的に教えます。韓国は、一九〇五年に乙巳保護条約によって外交権を奪われ、一九一〇年に日本に併合されました。一九四五年に解放されるまでの四十年間、民族が味わった血と汗と涙の苦難を、韓国国民の記憶から消し去ることは簡単ではありません。私は、そのような時代を、命からがら生き延びた父から、日本に対する恨み言を聞き続けて育ちました。ですから、日本を嫌いになってもおかしくはないでしょう。
日本では、子供が泣きやまないとき、「鬼が来るよ」「お化けが来るよ」と言わないですか? 韓国ではかつて、「日本の軍人さんが来るよ」と言いました。その言葉を聞いた瞬間、子供たちは、はっと泣きやんだのです。それほど日本の軍人を恐れていました。
〝日本の支配から脱しない限り、私たちに平安な暮らしは訪れない〟。このような人々の悲痛な叫びを受けて、愛国者たちが独立運動に立ち上がりました。独立運動家たちは、今もなお、韓国国民から深い尊敬を集めています。
皆さんは、韓国で義士と言われる安重根を知っていますか? 彼は、一九〇九年に日本の初代内閣総理大臣である伊藤博文(初代韓国統監)を暗殺しました。三十歳のときです。祖国の独立のために、妻と幼い子供三人を置いて、自らの命を捧げる覚悟で決起したのです。
韓国国民にとって安重根義士は英雄です。それでも、殺人は、絶対にしてはいけないことなのです。
日本を守るために奔走した韓国人と
韓国の孤児三千人を育てた日本人
日本は当時から、アジアの盟主でした。広大な国土を誇る清国やロシア帝国との戦争にも勝ちました。そして、ハワイの真珠湾を攻撃し、米国を中心とする連合国との太平洋戦争に突入しました。そのとき、戦争遂行に一貫して反対していたのが、東郷茂徳・外務大臣です。「米国は、今まで戦った国々とは国力が全く違う」と訴えました。しかし、その声は届きませんでした。日本国民が多大な犠牲を払う中で、彼は、「国体護持」(天皇制の維持)と戦争終結のために奔走しました。
実は、東郷大臣は、豊臣秀吉の時代に朝鮮半島から連行された陶工の子孫です。鹿児島県で、朴茂徳という名で生まれました。幼少期に、朴家が、東郷を名乗る士族の家禄を購入してその戸籍に入ったため、東郷茂徳と名乗るようになったのです。韓国に由来する人物が、日本を守るために活躍したことを、ぜひ、覚えておいてください。
広島と長崎に原子爆弾が落とされ、昭和天皇の聖断によって、日本はポツダム宣言を受諾。太平洋戦争は終結しました。もし、戦争が続いていれば、東京や大阪などの主要都市に、さらに原爆が投下されたかもしれません。そうなれば、戦後復興はどうなっていたでしょう。
日本の占領政策は、連合国軍最高司令官総司令部によって実施されました。そのトップ、ダグラス・マッカーサー元帥は、国体を護持したほうが日本国民をコントロールしやすいと判断し、現在の日本が存在するようになりました。
日本の統治時代には、多くの日本人が朝鮮半島に渡りました。敗戦後、ほとんどの人が帰国しましたが、韓国の男性と結婚した日本の女性たちの中には、そのまま残る人もいました。
その一人で、夫と共に、南部の木浦で孤児救済のために生涯を捧げたのが、田内千鶴子さんです。朝鮮戦争で夫が行方不明になったあとも、孤児救済のために尽くし、三千人の孤児を守り育てました。誰もが、自分の生命を守るので精いっぱいのときに、韓国人の孤児の生命を守ったのが、日本人だったのです。
彼女は、「韓国孤児の母」と呼ばれ、今も、その献身的な生き方が韓国国民から称えられています。
過去に怨讐関係にあった国民同士の
結婚を奨励された真の父母様
韓国人は日本人のために、日本人は韓国人のために、お互いに、ために生き合わない限り、韓国と日本は、怨讐の国として永遠に平行線をたどり、一つに交わることはないでしょう。
私は、日本に対して深い恨みを抱く父がいるにもかかわらず、真の父母様の祝福によって日本人の妻を授かりました。もちろん激しく葛藤しました。しかし、真の父母様が、その実体で示してくださった「ために生きる」「怨讐を愛する」という教えを実践するうちに、日本に対する嫌悪感が消えていったのです。
真の父母様は、「個人主義」はサタンの主義であり、「共産主義」と同じように問題が大きいと語られました。日本にも、個人主義は蔓延しています。世の中にはびこる個人主義を、私たちは払拭しなければなりません。真の父母様が強調された「利他主義」により、自分が困難な立場にあっても、相手のために投入するのです。それが、真の愛です。
日本と韓国は、自国のことだけを考えてはいけません。両国が一つになってアジアのために生き、アジア諸国が一つになって世界のために生きるのです。これが、真の父母様の教えであり、家庭連合が世界に訴え続けるべきことです。
真の父母様は、国際結婚を通して世界を一つにしようとしてこられました。中でも過去に怨讐関係にあった国民同士の結婚を奨励されたのです。韓国と日本、米国の黒人と白人、キリスト教とイスラーム、イスラエルとパレスチナ……。怨讐の背景を持った相手と愛し合い、許し合い、一つになることで世界に平和が訪れ、霊的な恨みも解かれるのです。
日日家庭だとしても、相手の血統をさかのぼれば、韓国人ということもあるでしょう。ですから、目の前の相手だけを見詰めて愛するのではなく、歴史的な恨みを解くという視点が必要なのです。
祈りによって怨讐を愛する
「祈祷」は偉大です。祈るときは、不思議と怨讐を愛することができます。ところが、目を開けた瞬間、怨讐は、やっぱり怨讐なのです。ですから、目を閉じて歩きましょう。(笑い)それは冗談ですが、私たちは常に、祈るような気持ちを抱いて歩かなければなりません。
ひととき、自分の心が痛む原因になっている人を思い浮かべてみてください。夫、妻、親、子供、隣人……。皆さんが祈るとき、今、思い浮かべた人を、「どうしたら懲らしめることができますか?」と尋ねることがあるでしょうか。ふだん、怒りがふつふつと湧いてくる相手に対しても、「私は、あの人を愛したいです。何とか和解したいのです。天の父母様(神様)、どうしたらいいでしょうか?」と尋ねると思います。
皆さんは、祈る時間が多くなればなるほど、心が清められ、人生に喜びがあふれるようになります。真の父母様は、祈りの生涯を貫かれました。親がそのようにされたのに、なぜ、子女である私たちが、まねをしないのですか?
親にならなければ、分からない世界があります。親になるということは、お金を儲けること以上の価値があります。
最近は、韓国でも日本でも、〝結婚したくない〟という若者が増えています。結婚しないという選択は、天の本来の願いではありません。〝一人で好きかってに生きるのが幸福だ〟という考えは、大間違いです。
男性は、女性の気持ちや感覚が分からないでしょう。逆に、女性は、男性のことが分かりません。夫婦は、お互いの心の世界に入っていけばいくほど、ダイヤモンドのように輝く宝物を発見することができます。ですから、夫婦の暮らしは飽きないのです。百年一緒に過ごしても、刺激がなくなることはありません。
世の中では、夫(妻)の心から、鬼や虎のように恐ろしいものが出てくることを心配して、極力、触れないようにしています。私たちは、そのような風潮を打破しなければなりません。夫婦や親子、家庭の本来の在り方を教えるために、家庭連合が設立されたのです。
韓国の草創期に導かれた古い先輩家庭の多くは、キリスト教出身でした。キリスト教徒が偏見なく「原理」を学べば、ほとんどの人が家庭連合に入教すると思います。皆が家庭連合の信徒になってしまうのを恐れ、牧師たちが、「異端だ、サタンだ」などと言って行かせないようにしてきたのです。
『原理講論』には、多くの聖句が引用され、従来の聖書解釈を正す内容が書かれています。聖書になじみのない仏教徒に、堕落論について話しても、「えっ、どういうこと?」と、ピンと来ないかもしれませんが、キリスト教徒に話すと、「すごい!」と感動するのです。
知り合いにキリスト教徒がいれば、ぜひ、「原理」を伝えてあげてください。彼らは、聖書を拝読し、天の雲に乗ってこられる再臨のキリストを待ちわびて、朝から晩まで祈るなど、信仰の基台が整っているので、皆さんよりも、りっぱな信仰者になります。本当です。
信仰は、反省することから始まる
カトリック教会の聖堂には「告解室」があり、そこで、自らが犯した罪を神父に告白します。すると、神からの赦しを得て復活し、これまでの二倍、三倍、頑張れるようになるというのです。
人は、自らの過ちを反省しない限り、生まれ変わることができません。「あなたは私に、こんなひどいことをしたじゃないか!」「それはこっちのセリフだ!」と、お互いに非難し合っているうちは、解決の道は見えません。許し合ってこそ、前に進むことができます。
この世に、「私は罪を犯したことがない」と言い切れる人はいるでしょうか。私たちの親、親の親、先祖までさかのぼれば、多くの罪が積み重ねられていると思います。信仰は、天の前にそれらを反省することから始まります。
「天の父母様。今まで頑張ってきたつもりでしたが、自らの過ちや不足さに気づいていませんでした……」
目を閉じて祈ると、それまでにどんなに頑張ってきた人でも、〝もっと投入すればよかった、本当に申し訳ない〟という気持ちが湧いてきます。祈りとは、「反省して覚悟する」ことです。それを日々、繰り返していく中で、自らの足場がコンクリートのように固くなり、天に対する信仰は揺らがなくなるのです。
親は、子女が自分よりもりっぱに
なることを願う
皆さん。席から立って、腕回しをしてみてください。気持ちいいでしょう。
ある先生が、生徒たちに向かって、「腕回しは健康にもいいし、脳の働きも良くなるので、毎日、百回やってください。いいですか。願い事は皆、かないます。信じて続けるんですよ」と呼びかけたとします。生徒たちは、「はーい!」と元気よく返事をしました。
十五日後、先生が、「きょうまで腕回しを続けられた人は、手を挙げてください」と尋ねると、半分の生徒が手を挙げました。先生はもう一度、「毎日、行えば、元気になるし、頭も良くなるし、人生が成功します。忘れずにやるんですよ」と念を押しました。再び十五日後に確認すると、続けていた生徒は、たった一人でした。
師の指導を信じ続けた弟子は、プラトンです。皆さんもよく知る、古代ギリシャの哲学者です。彼の恩師は、ソクラテスです。
プラトンは、自らの弟子に同じような指導もしました。そして、名を残した弟子が、アリストテレスです。
彼らの思想は、今もなお、全世界に影響を与えていますね。
アリストテレスを家庭教師に迎えて学んだのが、アレクサンドロス大王です。大王は二十歳で王位を継承し、遠征を重ねて、三十歳までに、ギリシャ、エジプト、ペルシャ、インドの一部に広がる大帝国を築きました。しかし、三十二歳で亡くなりました。いくら広大な領土を得ても、霊界に呼ばれたら行かざるをえません。
アレクサンドロス大王は、武力で帝国を支配しましたが、真の父母様は、天から授かった「原理」によって、世界百九十四か国に基盤を築かれました。全ての国に宣教師が派遣されています。このように偉大な方が、私たちの親なのです。
親は、子女が自分よりもりっぱになることを願います。皆さんは、「真の父母様以上になるなんて、無理ですよ」と諦めますか? それとも、拳をぎゅっと握り締めて、「真のお父様や真のお母様を超えてみせるぞ!」と誓いますか?
「真の父母様が、これまで投入してくださった以上に頑張るんだ!」という気概を持って前進すべきなのが、ここにいる祝福二世、信仰二世であり、一世の青年たちです。皆さん、小さなことで、くよくよと悩まないでください。
教会から距離を置く二世たちに
関心を持ち、働きかける
日本は世界第三位の経済大国です。どれほどりっぱですか。しかし、皆さんは、日本のことだけを考えてはいけません。アフリカなどの貧しい国々では、今も多くの人が飢餓で亡くなっています。真の父母様は、そのような人々を助けるために、世界中に支援してきました。
日本の食口たちは、真の父母様が展開される摂理を支えるために物心両面で支援をしてきました。皆さんのお父さんやお母さんも頑張ってこられたと思います。反対派やマスメディアは、そのことを非難しますが、世界平和のために、自分よりもつらい立場にある人のために、苦労することの何が問題なのでしょうか。
ここには、親から愛を受けられず、寂しかったと感じている人がいるかもしれません。そのような思いに負けないでください。お父さんやお母さんたちは、本気で、世界中の人々が、親なる神様のもとで兄弟姉妹として幸せに暮らす、「ワン・ファミリー・アンダー・ゴッド」を実現しようとしてきたのです。
反対活動をする、ある祝福二世の姉妹は、自分がアルバイトをして貯めたお金を、母親が献金してしまったとマスメディアで訴えています。私が、その母親に確認すると、それは事実ではありませんでした。しかし、マスメディアは、彼女の言葉のみを報道し、母親に確認することもなく、家庭連合のバッシングに彼女の訴えを利用しているのです。
残念ながら、彼女のように教会に対して恨みを抱く二世はいます。寂しさゆえに、そうなるのだと思います。私たちに足りなかった点があれば真摯に反省し、彼らを愛で包み、守っていけるように、教会改革を進めていきましょう。
皆さんの周りには、教会に来ることができていない二世たちが、たくさんいるでしょう。彼らも皆さんと同じように、天から祝福された貴い価値を持っています。それなのに、皆さんは、自分だけが教会につながり、恩恵を受けられればいいと考えるのですか?
私は、子供が六人います。一人一人個性は違い、教会活動に関心を持てない子もいます。教会に真面目に通う子と、足が遠のく子、どちらに親の目が行くでしょうか? やはり、教会に行けていない子にばかり目が行くのです。心配が尽きません。天の父母様や真の父母様も同じだと思います。
皆さんは、二十一日修に参加する前は、自分のことばかりを考えていたかもしれません。しかし、み言によって完全に生まれ変わったでしょう。復活した皆さんの責任は、教会から距離を置いている兄弟姉妹に関心を持ち、働きかけるようにすることです。
そして、社会の問題についても関心を持ち、一つ一つ、天に祈らなければなりません。天の父母様の真の愛が、全ての二世たちに、社会に、伝わるように努力しましょう。そうすれば、家庭連合は飛躍的に発展していきます。
恵みが流れてしまわないように
アクションを起こす
最後に、願いを四つ挙げます。
一つ目は、ここで受けた恩恵に対して、何かアクションを起こしてください。両親に電話をして、「二十一日修に参加させてくれてありがとう。『原理』ってやっぱりすごいね」と感謝の言葉を伝えてもいいし、二世の友人に、「二十一日修、最高! 早く出たらいいよ」とメッセージを送ってもいいでしょう。自宅で両親に敬礼を捧げ、「お父さんとお母さんが、み旨のために献身的に歩んできた意味がよく分かった。尊敬する。今まであまり教会に行ってなかったけど、心を入れ替えて通うようにするね」と約束するのもいいでしょう。
皆さんが、たとえ多くの恵みを受けても、教会につながらなければ、その恩恵を長く保つことはできません。習慣を変えるのは簡単ではないからです。
ばねは引っ張ると、元に戻ろうとします。しかし、引っ張り続け、伸び切ってしまえば戻ることはありません。皆さんも、過去の習慣性に戻ってしまわないように、教会に通い、天の願う方向に自らを引っ張り続けてください。教会が皆さんの霊的生命を守ってくれます。
二つ目、十分の一献金を捧げるようにしましょう。天の父母様、真の父母様に、生活の中で感謝を表すのです。礼拝の感謝献金も自主的に行いましょう。
三つ目、教会では牧会者の話をよく聴いてください。皆さんの骨となり、肉となる言葉が与えられるはずです。
四つ目、教会で礼拝に参加するときは、開始時刻の三十分前、遅くても十分前には着席して、祈りながら備えてください。声を出す必要はありません。心の中で、「天の父母様、一週間の出発です。どうかお導きください」と唱え、家族や友人、伝道対象者の名前を挙げながら祈るのです。
皆さんの門出をお祝いします。ありがとうございました。
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