韓国の大学で日本語を専攻している学生への指針
実社会への道、日本への道、世界への道
~社会が求めている学生が身につけるべき能力と資質について
~韓国と日本の違いと特質の認識について
アンリミテッドインターナショナル
produced by 韓国支社長 櫻井巖
<韓国と日本の違いについて>
① 韓国と日本の文化生活の違い
似ている反面、根本的に違う部分もあるのである。
そのヒントは、以外にも車の『走る向き』にあった。
日本は車が左車線で韓国は右車線、
すなわち左右が逆,と言うことである。
ということは、走っている車の種類や性能が違うのではなく、左右が逆である、ということだ。
「そんなことは言われ前から分かっている」
という方もいるだろう。
左車線なのは何も韓国だけではない。
アメリカも中国も左車線である。
私は、そういう事実のことを言っているのではなく、
韓国人と日本人の精神構造や生活様式が、左右対称になっている、
といいたいのだ。
右側に韓国人がいて、それを鏡に映すと日本人になる、そんな感じである。
自分を鏡に映すと、同じ自分なのだが、実は左右が入れ替わっているはずだ。
だから日本人が野球をするために左手にグローブをしているのを見て、韓国人もやろうとして日本人のグローブを借りると、韓国人は左利きで、右手にグローブをしなくてはいけないのでうまくいかない、そんな事態が起こるということだ。
私は、日本で流行っているフランチャイズをそのまま導入しようとベンチマーキングに来た韓国人が、そのまま韓国で展開して見事に失敗してきたケースを多く見てきた。
グローブというアイテム,機能は同じなのだが、左右が反対なのでそのままでは使えない。韓国人様に左右を入れ替えなくてはいけないのである。
日本は社会の秩序優先、韓国は家庭と氏族の秩序優先
日本は会社で責任を持ち、韓国は個人で責任を持つ
日本は秩序と理論と書類を重視し、韓国では情的つながりと話し合いを重視する
日本人は物をあげる時にぎこちなくなり、韓国人はもらうときにぎこちなくなる。
日本人は小さなものに価値を見出し、韓国人は大きいものに価値を見出す。
日本人は静けさを楽しみ韓国人はにぎやかさを楽しむ
日本人はじっとして休みながら疲れを取り、韓国人は外を歩き回って疲れを取る。
日本人は淡い色が好きで韓国人ははっきりした色が好き。
日本人は結論を濁し、韓国人は白黒はっきりが好き。
日本人は親しさに秩序を求め韓国人は親しくなると分け目をなくしてしまう。
日本人は氏族の格式と伝統を守り、韓国人は血統を守る
日本人のエチケットは「君主」中心で韓国のエチケットは「家長」中心である。
日本人は創るのが好きで韓国人は売るのがすき。
日本人はサービスするのが好きで韓国人はサービスを受けるのが好き。
日本人は公共的な場所をきれいにするが韓国人は自分の家の中をきれいにする。
日本人は夫婦の問題を友達に相談するが韓国人は友人のことを夫婦で話し合う。
日本人は気に入れないことがあると黙ってしまうが韓国人は大声で抗議する。
日本人は迷惑を先に考え韓国人は便利を先に考える。
日本人は10年後の1億円を優先して明日の10万円をあきらめて忍耐するが、
韓国人は目の前の10万円を追って10年後の100億円を失う。
日本人は製品を性能と用途で選び韓国人はブランドと値段で選ぶ。
日本人は安定と確実を好み韓国人は速さと動きを好む。
日本人は努力を好み韓国人は精神力を好む。
日本人は実利にこだわり韓国人は歴史にこだわる。
日本人は利と理にこだわり韓国人は真と信にこだわる。
......
等々
書き出せば本当にきりが無いのでここら辺にして見るが、
日本と韓国の比較を以上のような角度で見たとき、確かに微妙ながら、深いところで違っていることが分かっていただけると幸いである。
このようないろいろな側面から見たとき、必ずしも表現が適切でないかもしれないが、右脳的発想と動きが活発な民族が韓国で、左脳的発想と動きが日本、
さらには騎馬民族的、男性的性向が強い民族が韓国であり、農耕民族的、女性的性向が強い民族が日本、といえないだろうか。
この面については、学生たちの間でも今後、いろいろな場面でフリートーキングしていただきたいし、日本へ留学後に又同じ題材でぜひ何度も議論していただくと、私がどうしてこのような分析をしているのかの理由がだんだん分かっていただけると思う。
② 韓国人が見た日本社会と経済の問題点
・ 日本人は仕事中毒。仕事に没頭して人間的に付き合いが難しい。
・ 仕事の人間関係とプライベートがはっきり区別されていて、仕事は日本人と一緒にしても日本人の友人がなかなか出来ない
・ 会議が多いが、意見のやり取りが余なく、書類上の決済が多い。
・ 現場で直ぐ決済せず会議にかけるのでなかなか事業が進まない。
・ 平均的な社員の基準が求められるので、優秀な社員は働きにくい環境が多い。
・ マニュアル化して動くことが多いので、仕事が義務的で余り活力を感じない。
・ 深く付き合って見ると情的に冷静で冷たさを感じることが多い。韓国が恋しくなることが多い。
・ 世界の情報が入ってきているようで偏っている。正しい世界の情報が欠乏している。
・ 日本国内の内需だけで何とかなる部分もあって世界へのセールス体制が中小企業に欠乏している。
・ 人間一人一人としての対応力や交渉力に関して、日本人は極端に子供じみたところがある。しっかり説明しないし深く付き合おうともしない。
・ 何を考えているか分からないことが多い。
・ 会社の社長や個人を問題にせず会社を問題視する。説明のための膨大な資料と裏づけに時間が掛かりすぎてなかなか本論に入れない。
・ 自分の物に対する所有観念が強い。会社の冷蔵庫にあるものはすべて名前が入っている。友達の弁当に箸を入れると嫌がられる。
・ 事業の検討と分析ばかりしていていつになってもスタートしない。
失敗を極端に恐れ、批判されることも嫌がる。常に中道を選ぶ。はっきりしない。
・ 自分の物差しで動こうとせず会社の物差しに従う。いざというときに誰も主体的に意見を言わない。
・ 会社と経営者は一身同体。経営者はいつも会社にいて会社のことばかり
考えている。余り精神的に余裕が無い。人間的幅やスケールを感じない。
・会社で個人の生活や問題まで管理したり教育するので窮屈なことが多い。
等々
前もってお互いの問題点や相違点を良く知っておくことは、いい点を発見する上で大変重要だと思う。
それでは、逆に、日本人が見た韓国の問題点を簡単にまとめて見た。
③ 日本人が見た韓国社会と経済の問題点
<韓国中小企業の主な問題点>
1、 はっきりとした事業計画とビジネスプランに裏打ちされた計画的な経営と日々の現場の管理ができない。
(ほとんどの中小企業で、トップの自分だけの感覚経営。
失敗の繰り返しの中、常に環境を見ながらビジネスチャンスを探している)
2、 中心者の采配ということがあまりなく、ほとんど現場任せの現場決済
主義。
立場、階層意識を脱げず、自分で自分の首を絞めている。
3、 社員の会社への帰属意識はきわめて薄く、気に入らないことがあると後 先のことを考えずやめてしまう。
職場を点々とする社員が多い。またトップもそれを問題と思っていない。
4、 トップにも社員にもはっきりした仕事観がなく、しっかりした社員教育
をしている企業もほとんどない。
5、 しっかりとしたマーケッティングや現状把握という緻密な準備が
大変苦手。
どこかではやったものを大量に仕入れてみては失敗する企業が多い。
6、 同族が経理を完全に我が物にしている。
会社がつぶれても同族と財産は守る。
7、 50歳過ぎの経営者と30歳後半ぐらいの若手経営者に相当な意識の差が ある。
伝統・民族意識・同族重視・接待営業等を中心とする50代に比べて、
30代経営者はボーダレス・挑戦・攻撃をモットーとしている方が多く、
大変勉強熱心。
8、 日々の人間関係は建て前をほとんど言わず、本音のやり取り中心の社会。はっきりと自己主張し、感情表現しないと敬遠されがち。
逆に、感情がぶつかり合い、よくけんかをしている。完全な感情優先主義。
9、 儒教の国といいながら家庭が急速に崩壊している。
自己管理できない若い社員が多くなっている。
10、 いわゆる理論馬鹿、学歴重視の経済的風潮の中、経営者の人格や内面
を問題にする声が最近出てきている。
11、 決まりごとを守らなくてもなあなあにしてしまうトップがほとんど。
社長がもっとも遅れてくる、
お客より自分の方がえらい、
絶対誤らない。というトップの気質が目立つ。
12、 日本が優秀なことは認めるが頭を下げて学ぶにはプライドが
許さないところもある。
自分でひそかに盗み出している。
13、 社員は会社中心でなく自分の人脈中心に動く
派閥が堂々とまかり通っている。
14、地域社会を大変重要視している。あまり遠くの会社には頼まない。すぐに会いに行ける人を大切にする。
15、権威・ブランドに弱い。
国民的に消費の価値基準が、もののよしあしの本質を問題とせず、日々の衣食住の必要性に基準を置いていることが多い。
また安いものイコール悪いもの、高いものイコールよいもの、そうしたステータス感覚が主流。
16、「自分がいるおかげで会社がある」という意識が韓国のトップのほとんど。自分を否定する、反省する角度がなかなか入りにくい土壌。
17、経済的交流の中でも常に会社や組織でなく個人と本人を問題にしてくる。会社概要や説明書はあまり関心がなく、トップがどういう人でどのような考え方なのか、そして自分にとってどのような関係が成り立つのかをまず第一に問題としてくる。
18、しっかりした会社紹介書が存在しないことが多い。国際社会の企業間では余信用されない。
④ 韓国人の特有性
韓国は4500年の歴史の中で830回以上にわたり外国の侵略を受けてきたが、今日まで民族の伝統と血統を失わず、逆に侵略してきた民族はほとんど今残っている国家が無い。
それは、民族の団結力や忍耐力、いろいろあると思うが、結局のところ、侵略してきたどの民族よりも、韓国民族の方が心が大きかったのである。
器が小さい民族に、より器の大きい民族は決して感化されないし吸収もされない。
そしてほかのどんな民族よりも熱く深い民族愛で満ちているから抹殺しようにもしようがなかったのではないか。
日本の伝統的な心が「忠」の心なら、韓国は「孝」
自分のことを考える前に親を考える、そんな情的世界が無意識の中に存在するのが韓国人の特異性ではないのか、そう私は分析している。
忠という世界は家庭の中の情の世界ではなく、社会の中での主君と部下の関係の中の話である。
ところが「孝」という情は、家庭の中の親と子の情の世界であり、孝を代表格として、この家庭の中での愛情が韓国人の情の中心である。
夫婦がつながって親となり、親が子供を愛して、子供同士は兄弟となって、そこで兄弟愛が生まれる、
このように親から始まる愛情に対する感謝が「孝」であるということは、韓国人の心は深く家庭的であり、社会の人間関係で傷ついても家庭の情関係で直ぐに回復する、そんな情の豊かな民族なのである。
だから、韓国人の定義する「孝」の中には大きく「愛情」という文字が隠されている。
もっと大きくて定義すると韓国民族は「情」の民族なのである。
情が深いゆえに、情がつながれない、会いたくても会えないような状況が出るときは、それが大きな恨みとなるのも韓国人の特徴である。
830回も侵略されたということは、その都度家庭や親族が分断され、愛情が分断さて来た、と言うことである。
それが、民族の大きな「恨」となって、この「孝」と同時に「恨」を併せ持った心が、韓国人の特異性である、と私は分析する。
この二つの世界は、おそらく普通の状態では日本人がいくら努力しても理解できない部分ではないだろうかと思う。
ただし、韓国の若い世代には昔の悲しい世界を負って生きなさい、ということではない。
家庭的に生きる、情的に生きる、そんな韓国人の生き方が、機械的に生きようとする現代社会の中で大きく魅力を発するときが来る
と私は確信しているのである。
韓国が世界でもっとも優秀な部分、
誇るべき世界をはっきりとして、
韓国人が韓国人としてのはっきりとしたアイデンティティーを打ち出すことこそが、日本人、さらには世界の多くの人と堂々と張り合ってゆく最高のポイントなのである。
⑤ 韓国企業が日本から学びたがっていること
<韓国企業が日本から学びたがっていること>
1. 日本で成功したビジネスはやがて韓国でも成功すると多くの経営者が思っているし、実際そうなっている。
そういった意味において日本での成功したビジネスについて勉強したがっている。
2. 本音では日本企業のパートナーを必要としている。
また、日本企業と付き合っている、教わってきた、ということがひとつのステータスにもなっているので、日本で研修を受けてもいいと思っている。
3. 方針や計画を現場に徹底できない。
日本のような緻密さと計画性、秩序性を日本人から指導してほしい。
4. 社員一人一人の生産性が低い。
(日本の半分以下)
理屈ばかり言うが仕事はあまりしない社員をどうしたらいいのかは共通の課題。
日本の経営の、この部分を取り入れたいと思っている。
5. 韓国の企業がどうして日本の企業に勝てないのか。
それを真剣に知りたがっている。
自分たちの何が悪くて日本の何が優秀なのか、
それをしっかり整理して伝えた日本人は今までいない。
6. 逆に韓国企業のいいところと可能性はどうなのか、それを韓国人ではなくて日本人から聞きたがっている。
7、韓国人のスタッフならば、日本語をしゃべれるよりも日本と人脈のある
スタッフを求めている。
本来は協力してひとつのことをなしてゆけるパートナーとして、
それぞれ得意な分野と性質をべつべつに分担していたようにすら思える。
例えば
日本の国民性として、
忠と義を重んじ、
団体生活の秩序を大変大切にする。
規則と形式をしっかり守り、
団体やチームになるとすさまじいパワーを発揮し、
会社組織においても一糸乱れぬチームプレイを可能として
多くの優秀な企業を誕生させた。
韓国では、
逆に個人の考えや哲学を重要視し、
団体になってもなかなかまとまりがつかないが、
個人になるとすごいエネルギーを発揮する。
日本では
形式や建て前を重要視するが
韓国では本音で話し、
心が通じ合うことを大切にする。
このようにそれぞれの持ち味で、
長所と短所をまたそれぞれ生み出しながら、
今まで別個に発展してきた両国で、例えば企業でこの両国の持ち味をとあわせた内容を具備した企業が現れたとするならば、
きっとその企業は21世紀の主役となってゆくと思われる。
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