日刊SPA!のWebサイトに、以前ご紹介した祝福式の記事の続きとして、家庭連合の祝福の実体を直撃した内容がありましたのでご紹介します。
ご覧下さい。
旧統一教会・国際合同結婚式の実務トップを直撃!「財産のすべてを差し出せ」に象徴される“異常献金”問題にも言及
今も続く家庭連合(旧統一教会)の国際合同結婚式。これまで日本から17万人以上が、そして今年は778人が参加した。その式典に臨んだ新婚カップルの様子を「旧統一教会が開催した『国際合同結婚式』に潜入。どんな人たちが参加しているのか?」で伝えたところ、その独特な結婚観や家庭観に対して、大きな反響を得た。
教団はまた、そうして結婚していった夫婦の離婚率が1.7%という驚くべき数字を公表している。それは本当なのか。国内の離婚が3組に1組だと言われていることを考えれば、にわかに信じがたい数値である。
その真偽を確かめるにはまず、教団としてどんな形でサポートしているのか、一体どんなコミュニティになっているのかを知ることが不可欠だろう。ということで、家庭連合本部・家庭教育局副局長の桜井正上氏に話を聞いた。桜井氏は、国際合同結婚式における日本の実務トップを務める人物でもある。
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子が結婚する時に家族の実態が分かる
――国際合同結婚式に出るたくさんのカップルを見てきたそうですが、皆さんうまくいってるのですか?
桜井「最初からナンですが、一概には言えないんです。私は二世(信仰を持つ、一世と言われる親から生まれた子供たち)の結婚を数多く見てきました。私たちにとって、祝福を受ける(合同結婚式に出る)ことは特別な意味を持ちます。ですから親にとって、二世の祝福は切なる願いなんです。その思いがすごく強いがために、祝福は喜びの場でありながら、同時に家庭問題が表出する場でもあります」
優れた仕組みをアピールするものと思いきや、やや意外性のある話から始まった。
彼が言うのはこういうことだ。信仰を持つ親は子に家庭連合の結婚を受けさせたいと強く願う。子も心からそれを願うならもちろんハッピーだ。親の姿を見て自分もそうなりたいと子が思う場合には、実際よく見られる状況だと言う。
ところが、子にとって親が理想の夫婦になっていない場合には、事情が異なる。子の心の中で消化しきれず、反発が起きることが少なくない。親は「祝福だけをとにかく受けてほしい」などと言うが、親の願いをかなえようと自分の気持ちを押し殺して結婚に向かう場合に葛藤が起きるのだと言う。
桜井「結婚する若い二人の間に、ケンカや葛藤、行き違いがあるのは当たり前ですが、そういう時に親子関係が支えになるかどうかが、大きな違いになるんです。つまり、結婚していくカップルの夫婦関係と、その親との関係は密接にリンクしている。その点で、夫婦問題より親子問題が先なんです」
2月の国際合同結婚式に参加した二世の平均年齢は23~25歳、その親の結婚時期は1982年頃が多い。その時代からの信者家庭の実態が、今、子を通して垣間見られるというわけだ。
仕方なく一緒にいる親も
――信仰を持つ親の世代でうまくいってない家庭もあるということですね?
桜井「私たちの結婚は、(自由恋愛ではなく)信仰による出会いです。それに対して愛がないのに結婚していると言われるのですが、私たちは愛は二人で育むものだと考え、神が愛するためにめぐり合わせた相手と人生を一緒に歩むことを信仰の中心に置いています。ところが中には、信仰が信仰だけで留まっているケースがあります。神から与えられた相手だから、仕方なく一緒にいる、という感じです」
これはちょっとリアルな話かもしれない。
桜井「それを子供が一番見ています。子供は騙せないんです。両親がお互いに愛しあっているのか、それともどうしようもなく一緒にいるのか」
――つまり子は親を通して、自分の結婚観や家庭観を持つと?
桜井「私たちは、夫婦はもともと極と極の関係で、もう半分の相手と出会い、愛し合うことで幸せになるという考え方を持っています。だからマッチングでも自分とはまったく違う相手と一緒になることが多い。必然的に、困難を乗り越えるうえでも、相手を理解しようと努力することが不可欠なのです。両親はこう行動した、その結果、仲良くなった、というプロセスを繰り返し、二人で乗り越えていく姿を見ることで、子にとっても本当に素敵な結婚観が生まれます。そういう親を見て育った子供たちにとっては、(まったく異なるバックグラウンドを持つ)結婚相手とのケンカや葛藤は怖くないのです」
どうやら親の責任が非常に大きく捉えられているようだ。しかし注目のポイントはそこではない。話を聞いていると、信者の離婚率が低いのは、信仰上の理由から離婚したくてもできない場合も少なくなさそうだと感じられる。もちろん信仰があってもなくても、家庭の事情はそれぞれで一般の場合と単純比較できるものではないが、愛のあふれる幸せな家庭づくりを掲げる教団の中枢からこうした情報が出てくるのは、注目に値するだろう。
離婚率1.7%って本当ですか?
――合同結婚式を経て結婚生活を始めた信者4万人の離婚率が1.7%だと発表(http://family-ef.org/factdata/)していますね?どうしてそんなに低いのですか?
桜井「まず合同結婚式に出てから、入籍して実際の夫婦生活を始めるまでに期間があります。その間に難しくなるカップルがいます。婚約解消ですね。その人たちが数字には入っていません。さらに、生涯その天から与えられた相手を愛するという選択をしている人たちですから、簡単には別れないということもあるでしょうね」
つまり、合同結婚式に出ても入籍までの間に別れれば、対象から外れるということになる(これは一般の離婚率と考え方は同じだ)。それに加えて、合同結婚式参加が17万人以上で、離婚率を計算する母数が4万人になっていることにも着目する必要があるだろう。教会に来なくなった人たちのデータを教団として追うことは困難だろうから、現在も信者として教会に通っている(信仰を持ち続けている)人たちが統計の母数になっている、という前提条件がどうやら大きそうだ。
加えて彼はこうも言っている。
桜井「信者の悩み相談にも特徴があるかもしれません。教会として夫婦問題に関しても様々な相談を受けますが、どうすれば愛せるでしょうか?というのが最初の質問であることが多いんです。つまり、別れたいんですがどうすればいいか?ではない、ということです」
やはり信仰による歯止めは、決して小さくないのだろう。
――教会として家庭問題をサポートする仕組みは?
桜井「霊の親と呼ばれる直接伝道をした人や、結婚の仲介人、教会にいる家庭部長が、日常的に相談にのったり、アドバイスをしたりしていますが、実際のレベルは教会によってまちまちで、決して十分とは言えないと思います。(国籍の異なるカップルによる)国際家庭が多いのが家庭連合の特徴ですが、先輩が多くなってきたので支えるコミュニティが出来上がってきたということは言えるかもしれません。初期の統一教会では見知らぬ土地に一人で飛び込んで、頼るものがなく、信仰で越えるしかないという世界でした。そうした経験を持つ人たちが今、支えになっています」
信仰を明かした後、家族に心配されたことから縁を切ったような状態で異郷の地で暮らしたり、韓国に嫁いだ日本人妻が夫と関係がうまくいかず、酒乱になっていた夫が暴れた際に咄嗟に絞殺した等という悲劇的な事件も報じられている。そうした過去も想定して語っているのだろう。
葬儀は白が9割。教会の濃密な人間関係
実は、国際合同結婚式の取材をサポートしてくれた家庭連合広報局の担当者の母親が、最近亡くなった。「家庭連合の葬儀は独特なので、ぜひ見に来てほしい」と言われたので、カメラを持って訪ねた。
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家庭連合の葬儀では、統一教会時代から、男性は白ネクタイ、女性は白い服を着る。この世での別れは寂しいものだが、あの世への旅立ちはめでたいと考え、みんなで祝うという意味が強いのだと言う。信仰を持たない人は一般的な喪服、そして黒ネクタイで参列する。つまり、色を見れば信仰を持つ人とそうでない人が一目瞭然である。
実際に参加して目を引いたのは、その「白比率」の高さだ。最近の書籍のタイトル風に言うならば、「白が9割」とでもいう感じだった。これをインタビューでぶつけた。
――家庭連合の葬儀に行くと、そのほとんどが教会関係者でした。信者の日常的な付き合い、人間関係は、ほとんど教会関係者になるというのが一般的なのですか?
桜井「人によって差が大きいです。信仰を持っていても日曜の礼拝のみの人や、興味のある講座のみ参加という人もいます。教会関連の活動は強制ではありませんし、皆が家庭連合の人としか付き合っていないわけではありません」
確かに、これまで話を聞いた信者の中にも会社勤めをしている人はたくさんいたし、一般の従業員を抱えて会社経営をしている人もいた。
「伝道するヒマがあったら、夫を愛しなさい」
桜井「一方で、信仰で熱く盛り上がって伝道熱心な人もいます。夫よりも伝道が好きという人もいます」
――夫より伝道って、それは理想的な姿なのですか?
桜井「愛を育むことが大切という教えですから、伝道するヒマがあったら、夫を愛しなさいという教育もしています」
献金が大きな問題になった
結婚のパートナーを紹介され、愛のある幸せな家庭作りを推し進める信仰のコミュニティは、しかし、統一教会時代、霊感商法や高額献金など、金の問題がたびたび取り沙汰された。
――統一教会に入ると、貧乏になると聞きました。本当ですか?
桜井「献金を熱心にするという習慣性が強いのは確かです。そのため、豊かでない家庭が多くなっているという課題はありました」
あ、認めた。
――無理な献金もあると?
桜井「初期の統一教会は、国と世界をどう変えていくかを考える意識を持つ人々が集まってきました。そこでは日本が世界のために生きる、献金で世界を生かすという考えが強かった。このスピリットは今も消えていないと思います。そして、世界の救済というのが自分たちの意識で、日本が世界170か国での統一教会の活動の財源となっていました。こうした意識によって、バランスを欠いてしまう場合があったし、今もあるかもしれません」
――そうした問題をどう捉えていますか?
桜井「統一教会の開拓期においては、家庭を犠牲にしてでも統一運動を支えるという考えが強かった。二世(その子供たち)としても、親がそうやってきたことに誇りを感じてもいます。ただ、本来の形は家庭が中心であり、ちょうど日本でも統一教会から家庭連合へと名称も変わり、個人の運動から家庭の運動へと変えていく時期にある、今はまさに移行期であろうと思います」
――ネット動画で、90年代後半の教団内部映像というものを見ました。信者に「財産の全てを差し出せ」と大声で指示する様子が映し出される異様なものでした。
桜井「そんなことをやっているからウチは貧しいんだ、と二世は思っているところがあります。教会の中でも行きすぎでしょうという声が上がったり、献金の取り組みについて一歩引いて見ている人もいます。動画の話で言えば、内部にも、一般の人と同じようにそれを異常だと感じる感覚がある、ということを知ってもらいたいです」
そうなのか。
桜井「ただ、理解を得ることが難しいかもしれませんが、宗教の本質あるいは動機には、自己否定と自己犠牲の気持ちがあるということです。それ自体を魂の救いと感じて、喜んで自分が持っているものを捧げる姿もあるのです」
――ということは、つまり本人の自由意思によるものかどうか、ということがポイントになると思いますが、組織としての対策は?
桜井「行き過ぎた献金などを防ぐために、2009年、徳野会長名で全国の教会に文書を出しています。過度の献金を求めないことやコンプライアンスの徹底などを指示するものです。それをしっかり浸透させるように指導したり体制づくりを進めたりしています」
――信仰を続けるうえで献金は義務ですか?
桜井「教団では信者に向けた意識調査を実施しており、年間どのくらいの献金をしているかを聞いています。よくある80:20の法則通り、全体の2~3割の熱心な人が年間100万円以上の献金をしている一方で、多くの人は年間1~10万円程度だと分かりました。献金は信者の自由意思です」
――国際合同結婚式に出るにも、一世は140万円、二世は40万円の献金が必要と聞いています。
桜井「確かに祝福の感謝献金には140万円という基準があります。が、これも実際のところ教育の指導者によって違いますし、すぐに払えないという人には収入の10分の1を毎月払うとか、そういう形も見られます。献金の激しさの流れはこれまで確かにありましたが、家庭教育の流れとは別です。献金したからフォローするとかではありません。私たちの世界で祝福を受ける、相手を受け入れるというのは、100%委ねるというもので、これはもう本当に信仰がないとできないんです。つまり本人の主体性が大きい。やれと言ってみんながやるという話ではなくて、人によって違うし、強制ではないので、やらない人はやらないんですね」
教祖家族は幸せに見えないんですが
――信者には純潔を守り、一人の相手を愛することを説きながら、教祖は何度も結婚し、子は相次いで問題を起こしたり死亡したりするなど、幸せな家族に思えないという指摘があります
桜井「(私たちの信仰におけるマッチングで生まれた)祝福家庭に起きることは、過去の歴史的な課題を乗り越えるために生じる現象だと教えています。それを1つ1つ乗り越えることによって負の遺産、歴史の問題を越えていくという意味があります。祝福家庭はつまり代表として問題に向き合っているという考え方です。教祖の家庭にもいろんな課題が起っていて、それを乗り越えていく姿を見せてくれているというのが信仰的な見つめ方です」
進んで自ら苦難を背負っているという理解をするのか。
――教祖の家庭からは、掲げる理想像を感じないという声は、どう受けとめますか?
桜井「統一教会時代、国や世界の問題を解決しなければならないと考え、個人や家庭が大切と言いながら、むしろ家庭を投げ捨てて自分の家庭に帰る時間もないような状態だった人たちも少なくありませんでした。教会活動のために犠牲にしてきたわけです。その意味で、愛が全然育っていない家庭もあります。教祖も自分の家庭をないがしろにしてきたところがあると言えるでしょう。しかし、だからこそ、自分たちが感じる痛みの部分を教祖が知ってくれているということが信者にとっては救いであり、はげみになっているのです」
――桜井さんも二世ですよね、個人的にはどう思いますか?
桜井「私は統一教会の古き良き原点を見て育ちました。親は教会活動でいつも不在で、教会のお姉さんが来て育ててくれました。教会の兄弟姉妹の関係の中で、大切な価値観が育まれたと思います。そこで単なるマイホーム主義ではなくて、世界はどうあるべきかを考えてきましたし、自分たちはいろんな問題を解決するために生まれてきたと信じています。教祖の家庭問題も必ず解決できます。できなければ崩れるんです」
どうやらここは変わらない考え方のようだ。
献金の使途について
――韓国に行くと、教団が運営する超進学校やエリート芸術学校があって驚きました。韓国では霊感商法が問題になることもなかったし、カルト扱いもされていないようです。日本からたくさんお金を出しているのに、日本人としてつらくないですか?
桜井「投資するバランスは、韓国だけではなくて、日本にもと思うことも当然あります。日本に半分でも投入できたらと思ったりもしてきました。ただ私も韓国の学校に留学して知らないことを随分学べましたし、日本からたくさんの人が行っているので、恵沢はあるのではないかと思います」
――日本の学校に通っても学ぶことは多いでしょう? 日本に学校を作って海外から来てもらってもいいんじゃないですか?
桜井「そうですね。世界のためにと言いながら、日本での投資はそんなに大きくありませんでしたから、それは今後の課題ですね」
――ありがとうございました。
続きはコチラです。
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