環太平洋時代と人間の価値の守護―何から何を守るのか― : 菊谷清一のマンスリーメッセージの紹介

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増大する中国の脅威

今回は、1月21~25日に韓国で開催された国際指導者会議(ILC)(主催:UPF)の開会総会で行われた、文亨進UPF世界会長の基調講演の内容を中心にお話しいたします。

これまで、文会長はUPFの主要な活動の一つである、超宗教的協力の分野で特に活躍されてきました。実際に、文会長の宗教に対する造詣と洞察は極めて深いものがあります。20代の前半には仏教の修行に励み、ハーバード大学では比較宗教学を専攻されました。更には世界の諸宗教の聖地を訪ねて祈祷を捧げながら、ご自身の霊性の修養はもちろん、諸宗教間の調和に向けて大変な努力を重ねてこられました。

しかし、今回の基調講演で文会長は、今までと少し趣が異なり、中国の軍事的脅威と東アジアにおける安全保障の重要性を強調されたのです。「宗教者がなぜ、軍事的な問題を扱うのか」という疑問をお持ちの方もおられるかもしれませんが、その背景には非常に深刻な問題意識があります。

宗教的価値観を尊重し、奉仕活動や平和運動を展開する努力はもちろん重要ですが、もしも、それを否定する勢力が強大な軍事力をもって侵攻し、他の国々を蹂躙したとすればどうなるでしょうか。すべての文化的、宗教的遺産が失われてしまいます。ここに宗教者が平和と安全保障を同時に語らなければならない理由があるのです。

では、実際に現在、我々が直面している状況を見てみましょう。ご存じのように、東アジアを中心として憂慮すべき事態が進行しています。特に深刻なのは、米国の国力の弱体化による、この地域における米軍のプレゼンス(存在感)の低下と、他方、中国の軍事力の果てしない増強です。このパワーバランスの決定的変化により、東アジアとその周辺地域において、安全保障上、極めて不安定な状況が生まれています。

まずは米国の問題ですが、財政面において双子の赤字を抱えているために、軍事費を大幅に削減せざるを得なくなりました。米国国内においても、「世界の警察官としての役割を継続するよりも国内問題に専念すべきだ」との声が圧倒的に大きくなっています。第二次大戦以降、世界の平和は米軍の圧倒的力によって保たれてきたと言っても過言ではありませんが、その米軍が後退する傾向にあるのです。

一方、中国は過去10年以上にわたって、毎年10%以上の割合で軍事費を増大させています。歴史上、中国は軍事力で他国より優位に立った時代には、必ず対外侵略を実行しています。最近の我が国周辺、東シナ海、南シナ海などにおける中国の行動を見れば、その脅威は切迫したものだと考えられます。日本に輸入される石油などの資源を含む物資の95%以上は、その地域を通るシーレーンを通過して入ってきています。このシーレーンが中国によって押さえられれば、日本の生命線を牛耳られることになります。

以上のような内容を、文会長は様々なデータを用いて説明され、中国の脅威と宗教者の責任について語られました。今、日本においては「アジアと日本の平和と安全を守る国民運動」が全国的に展開され、平和大使協議会もその主要な推進団体となっています。昨年12月1日に開催された全国大会では、文國進・韓国統一グループ会長が講演されましたが、その内容と、今回の文亨進UPF世界会長の講演は趣旨において全く一致するものでした。この運動を日本や韓国だけでなく、さらに広く世界レベルにおいて一刻も早く推進していく必要性があるというのが文会長の講演の趣旨です。

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環太平洋時代と人間の価値の守護―何から何を守るのか―: 菊谷清一のマンスリーメッセージ

UPF-Japan(天宙平和連合日本事務局)のマンスリーメッセージブログです。

事務総長の菊谷より時代を読み解くメッセージをお送りします。

UPFとは

UPFとは「Universal Peace Federation(天宙平和連合)」の略称で、2005年9月に創設された国際組織です(本部: 米国・ニューヨーク)。

また、国連経済社会理事会(ECOSOC)の特殊協議資格(カテゴリー2)を持つ国連NGOでもあります。

UPFは、国連改革やミレニアム開発目標の達成に貢献しながら、平和文化の形成を促進しています。

菊谷清一のマンスリーメッセージより

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